MEMBER

研究開発の現場

研究者なら、
リサーチャーたれ。

TATSUJI NISHIOKA

西岡 達二

わたらせ創薬センター 薬理第一研究所
2006年入社 薬学研究科 (博士卒)

profile

呼吸器関連の研究に興味を持ち、大学院で気管支炎喘息を研究。「幼い頃のCMに記憶があったことから、最初のエントリーがキョーリン製薬だった」という逸話を持つ。2013年から社会人博士課程に在籍し2016年に博士を取得。プライベートでは最近、社内のランニングクラブに加入したものの、走ることが好きになる日が来るのかは未だ不明。

企業における研究開発の要は、
スペシャリスト同士によるチームワーク。

現在の仕事内容について教えてください。

私は現在、呼吸器関連と泌尿器関連のテーマリーダーを担当しています。テーマの方向性を決めることや、他部署との仕事内容の調整が重要な仕事になります。また、薬理第一研究所はチーム制を採用しています。その中で私はチームリーダーを担当していまして、私のチームには私を含めて4人のメンバーがいます。それぞれが異なる複数のテーマのメンバーとして研究を行っているため、チームミーティングを行うと、自分が担当していないテーマの進捗についてもディスカッションをすることができます。年齢や関係性が異なるメンバー同士ですので、本音で話せる環境づくりに気を配るのもリーダーの役目です。チームミーティングでの議論では積極的に後輩たちに発言してもらい、重要なサジェスチョンをもらうこともあります。先輩・後輩に関わりなく、互いに信頼し合え、聞きたいことが聞ける、言いたいことが言える関係が築けていると思います。

大学での研究と、企業研究との違いはありますか?

大学と大きく異なるのは、企業の研究の現場はよりチームワークが重要である点です。薬理、合成、動態、安全性などそれぞれの部署からスペシャリストが集まり、1つのプロジェクトを推進していきます。各部署が集まるディスカッションは刺激的ですし、自分にはない知識やアイディアに救われたことも数多くあります。もちろん、研究者ですからそれぞれの考えや方針もあり、テーマを進めていくうえでの方向性を定めるための議論は白熱します。頑固なことは研究者にとって長所のひとつですから(笑)。議論を重ねながら調整していくと、当初のアイディアを上回るプランになることがほとんどです。これこそ、チームワークで進んでいく企業研究の魅力でもあると思います。

創薬の研究で印象的だった出来事を教えてください。

ある疾患のターゲット探しをしているときに、人と動物(マウス)の違いが問題になりました。私たちが求めている現象は、人では起こっていると報告されているものの、マウスで起こるという報告が調べてもなかったのです。一方で、起こらないという詳細な検証はされておらず、「状況証拠からは、その現象が起こっていてもおかしくない」という状態でした。そこで、テーマメンバーの女性を中心に、数カ月に渡る実験を繰り返し行った結果、見事にその現象が起こっていることが示されました。未報告の現象を発見した瞬間であり、テーマの推進を後押しする重要なデータが取得できた瞬間でもありました。

多面的関われるからこそ、
創薬研究面白く、研究者として成長できる。

キョーリン製薬における創薬研究の魅力とは?

現在、キョーリン製薬はファーストインクラス創薬を行っており、創薬の最初の一歩である「独自のターゲットを見出す」ところから創薬を始めることができます。基礎研究から取り組めることは、キョーリン製薬での創薬の魅力です。さらに、その創薬の最初の部分に加え、その後のテーマの推進にも関われることも醍醐味です。研究所内で分業化されて、同じ実験を繰り返して担当するのではなく、1人の人が酵素を使った実験、細胞の実験、次の段階の動物と多種の実験を行うことができます。このように体系的に研究ができることは、研究者としての成長を促す整った環境と言えます。ひいては、生体や疾患に関する理解が深まり、改めて「創薬研究は面白い」と実感することができます。

西岡さんの考える創薬研究者とは何でしょうか。また、目標とする研究者像について教えてください。

後輩にも伝えていますし、自分自身に課していることでもありますが、「研究者はリサーチャーであるべき」ということを常に念頭に置いています。誰かに決められた実験をやるのみであればリサーチャーではなくオペレーターです。研究者として大切なのは、常に探究心を持ち続けることです。手だけではなく頭を動かし、より良い結果を得るための改善点を考えることや、新たな発見と発想につなげることが創薬研究者としての仕事です。幸いにも、キョーリン製薬には研究者が成長できる土壌があります。私の目標はそのような環境で自らの成長を促し続け、ゆくゆくは独自の創薬研究領域を創出することです。新規ターゲットを継続的に見つける仕組みを確立し、いずれはその領域を束ねる立場となりたいです。そして、そこから創薬を成し遂げたいと考えています。

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