MEMBER

生産技術の現場

協力仰ぎながら、
チーム一つに。

MIZUKI ITO

伊藤 瑞記

能代工場 品質グループ
2011年4月入社 学系研究科 再生医科学専攻 生命機能分子設計分野修了

profile

工学部生命工学科を卒業後、大学院で「神経性疾患のシード加工物からの探索合成」を研究。新薬を「創る」側に回るために入社。岡谷工場での勤務後、能代工場に異動。2016年10月に職場結婚をした。休日は大好きな嵐のCDをかけながら、妻とのドライブを楽しむ。

経歴個性まったく異なる試験担当者たち。
どうやってまとめていくべきか課題だった。

なぜキョーリン製薬を選んだのでしょうか?

私は新薬の開発を通して、患者さんの役に立ちたいと考えていました。ですから就職活動を始めた頃は、医薬品の先発品メーカーの研究部門を中心にあたっていたのです。でも次第に考え方が変わっていきました。「より患者さんに近いところで薬をつくる」という意味では、研究より、製造や品質管理の仕事のほうがやりがいは大きい、と。そこで志望を研究から生産に変えて就職活動をやり直したところ、真っ先に興味を示してくれたのがキョーリン製薬でした。しかも面接では人事の方だけではなく、今の社長の宮下さん(宮下三朝:当時は取締役執行役員)のような上の方まで話を聞いてくれたのです。また、キョーリン製薬は、生産部門を社外に委託しないで社内に持っています。研究や営業とコミュニケーションをとりながら薬を生み出している体制にも共感し、入社を決めました。

現在はどのような仕事をされていらっしゃいますか?

能代工場の品質グループは、キョーリン製薬における品質管理の要として、国内・海外両方の市場に出荷する製品・原薬の品質試験を行っています。自分たちの品質管理が、そのまま会社の品質管理につながるわけですから、責任は大きいです。私はこの能代工場に2年前に異動し、ガチフロキサシン(GFLX)などの出荷試験や安定性試験を担当。現在もこの仕事は続いています。そして1年前からは、チームリーダーである試験責任者の補佐も任されるようになりました。試験は、「純度」「定量」「微生物」「確認試験」など多岐に渡ります。一方、試験担当者は一人ひとり得意分野を持っています。双方のマッチングが、質の高い試験を実施する上で欠かせません。私は試験責任者に、そのマッチングの提案を行っているのです。

異動して2年目で補佐というポジションを任されて、
苦労されたことはありますか?

正直に言って、最初はキツかったですね。試験担当者は得意分野がいろいろ、というだけではありません。別の会社の研究所で微生物試験に携わっていた方。派遣で能代工場の製造部門に入り、叩き上げで品質に異動してきたベテランの方・・・などなど。経歴も、個性も、仕事への向き合い方も、まったく違ってくるのです。一人ひとりの長所を活かせれば、高杉晋作の「奇兵隊」のようなチームになるでしょう。でも慣れないうちは、試験とのマッチングにしろ、私が作った試験の計画書にしろ、きっと皆さんを不安にさせていたと思います。そこで私は、一人ひとりのお話を徹底的に聞いて回りました。私からも試験の方向について納得していただくまで説明をし、さらに試験の一番大変な業務を自ら担当することで、少しずつ皆さんからの協力を得られるようになっていったのです。

担当の原薬についてFDAの査察を受ける。
そのプロセスの中でチームが一つになった。

その苦労が実って、「奇兵隊に一歩近づいた」と感じた瞬間はありますか?

今年(2016年)の夏に、アメリカ食品医薬品局(FDA)の査察を受けた時のことです。今回の査察は、キョーリン製薬が今後もアメリカ市場にGFLXの供給を行うために実施されました。世界標準のデータ管理体制が要求される査察で、品質グループにとどまらず能代工場、ひいては会社としてのGMP(医薬品等の製造管理および品質管理に関する基準:Good Manufacturing Practice)が問われることになります。GFLXの担当である私は、FDAがどこを突っ込んでくるか、試験担当者にアドバイスをもらいながらデータや事例を収集。皆さんには勉強会も開いてもらいました。そして査察当日。試験機器の操作やデータの取得方法など、FDAからの鋭い質問に対応する私を見て、チームの皆さんの気持ちが変わったようです。査察以降、グッと距離が縮まりました。私を「試験責任者の補佐」として認めてくれたのだと思います。もちろん私自身は、高杉晋作にはまだまだ及びませんが(苦笑)。

今後はどのようなキャリアを築いていきたいですか?

研究部門の同期が創出した新薬を、私が設計に関わったプラントで製造し、市場に出荷することが私の夢です。研究部門の同期と話して、そう決めました。昨年の研修で、研究部門で働いている同期と久しぶりに再会。私も一度は研究部門を目指した人間ですから、入社当初、同期の彼の存在はとてもまぶしかったです。でも、研修が終わって飲みに行ったら、彼にはすごく“熱いもの”があると分かりました。仕事で苦労しながらも、新しい薬を生み出したい・・・という思いが伝わってきたのです。それならば、彼が創った薬を、私が工場で製造しよう!と。「能代工場にはまだ敷地に余裕があるから、俺が新しいプラントを建てて製造するよ!」「よろしく頼むよ!」そんな会話を交わし、酔っぱらった男同士で語り明かしましたね(笑)。

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