事業活動

臨床開発・育薬研究

臨床開発 ─ 有効性と安全性を調べる

患者さんのQOLまで視野に入れた、新薬開発の最終プロセス

新薬の製造販売承認取得のために、ヒトを対象として有効性と安全性を調べるのが臨床試験(治験)。新薬開発の最終プロセス、そして最も重要なプロセスです。高い倫理性・科学性が求められることはもちろん、服用回数など、患者さんの負担軽減につながる点を試験することも重要になります。杏林製薬では、自社開発はもちろん、他社との共同開発や臨床開発業務受託機関(CRO)を活用した効率的な開発、また国内だけでなく、海外での臨床試験も積極的に進めています。

  • CRO:Contract Research Organization
意見交換と調整から始まる臨床開発

臨床開発の仕事は、社内他部署、医師や治験コーディネーター(CRC)など社外の様々な立場の方々と連携することが大切です。意見交換と調整を繰り返しながら試験計画を練り、実施機関を選定し、試験開始。 できる限り早く新薬を医療現場へ送り出すため、正確なデータ収集を心がけスピードアップを目指します。

  • CRC:Clinical Research Coordinator
治験の段階
ステージ 主な試験 内容
第I相 臨床薬理試験
  • 健康人対象
  • 主として安全性と体内動態を見る
第II相 探索的試験
  • 患者を対象(少数)
  • 有効性・安全性を見る
  • 用量の決定
第III相 検証的試験
  • 患者(より多数)
  • 比較試験、一般試験により実際の臨床使用における有効性・安全性の確認
  • 適応疾患における用法・用量の確認
第IV相 治療的試験
  • 製造販売後臨床試験
  • 使用成績調査
  • 特別調査
新薬開発に要する期間

育薬研究 ─ より使いやすい薬に育てる

より効果的な使い方や新しい薬理作用を見いだし、医療現場に医薬品の有用な情報を提供する育薬研究

医薬品は、年齢、合併症など限られた患者さんを対象とした臨床試験を経て、世にでます。しかし、現実の医療現場では様々な背景を有する患者さんに使用されることになります。発売後の医薬品について、より効果的で安全性の高い使い方や新しい薬理作用を見出し付加価値を高めるのが育薬研究。育薬研究で得られた情報を加えることで、より使いやすい薬剤に育てます。大学、研究機関、医療機関に基礎試験、臨床試験を委託し、科学的な根拠を集積します。得られた結果を学会発表や論文投稿を通じて社会に 発信し、医師、薬剤師などの医療にかかわる方に情報提供します。

製薬会社にとって新薬開発と同様に大切な「育薬」

製薬会社にとって、既存薬を育てることは、新薬の開発と同じように重要です。杏林製薬では、育薬のために「育薬推進部」という専門部署を設置し、ムコダイン、ウリトスなど既存薬の可能性を検討しています。

育薬研究による成果の一部
カルボシステイン(ムコダイン)のウイルス感染抑制作用
カルボシステインがヒト上皮細胞のインフルエンザウイルス、
ライノウイルス感染を抑制することを基礎的に解明。
カルボシステインのCOPD  急性増悪抑制作用(PEACE Study)
中国で実施したプラセボ対照二重盲検比較試験でカルボシステインがCOPD患者の急性増悪を抑制することを解明。この結果は世界的に権威のある医学雑誌LANCETに掲載された。
イミダフェナシン(ウリトス)の夜間頻尿改善効果
イミダフェナシンが夜間頻尿を改善することにより睡眠の質や昼間の眠気を改善することを解明。
脳梗塞患者のQOLに関する疫学研究(OASIS Study)
めまいが脳梗塞患者のQOLを低下しており、イブジラスト(ケタス)がめまいを改善することによりQOLが改善することを解明。この研究の論文は、2010年神経治療学会の学会賞を受賞した。

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