本剤(リフヌア®錠45mg)の効能又は効果は、"難治性"の慢性咳嗽となりますので、咳症状が持続しているだけでは投与できません。
最新のガイドライン等を参考に、慢性咳嗽の原因となる病歴、職業、環境要因、臨床検査結果等を含めた包括的な診断に基づく十分な治療を行っても咳嗽が持続する場合に、本剤の投与を検討してください。
電子添文の記載は、以下のとおりです。
4. 効能又は効果 難治性の慢性咳嗽 |
5. 効能又は効果に関連する注意 最新のガイドライン等を参考に、慢性咳嗽の原因となる病歴、職業、環境要因、臨床検査結果等を含めた包括的な診断に基づく十分な治療を行っても咳嗽が持続する場合に使用を考慮すること。 |
[補足]
喘息診療実践ガイドライン20241)では、「慢性咳嗽の鑑別診断」において、プライマリ・ケアでは原因が明らかでない「長引く咳」に関して、以下のように記載されています。
(前略)プライマリ・ケアの通常診療(医療面接(病歴、既往歴、家族歴、喫煙歴、職業歴など)、胸部単純X線写真などの一般検査や身体所見(特に聴診所見))で原因を特定できない慢性咳嗽の主な疾患として、咳喘息、アトピー咳嗽、胃食道逆流症(GERD)関連咳嗽、副鼻腔気管支症候群(SBS)が存在する。なお、プライマリ・ケアではスパイロメトリーを実施していないため、気流閉塞の存在により除外される喘息(特に咳優位型喘息)が含まれる可能性があるため、強制呼出も含めた聴診を行い、喘息の有無を確認して、鑑別診断に努める。(後略)
なお、日本咳嗽学会より本剤の適正使用に関するステートメント「ゲーファピキサントクエン酸塩錠(リフヌア®錠45mg)の適正使用のお願い」2)が公表され(2022年11月2日)、本ステートメントには以下のように記載されています。
(前略)長引く咳は、肺がんや間質性肺炎など生命に関わる疾患、結核など公衆衛生に関わる疾患の主訴となることがあり、早期の確定診断が必要です。これらの疾患を除外した狭義の慢性咳嗽の原因には、(咳)喘息、胃食道逆流症、副鼻腔気管支症候群、アトピー咳嗽(喉頭アレルギー)などがあり、その鎮咳には各疾患の病態に応じた特異的治療が必要です。
いずれの疾患でも、非特異的な咳嗽治療薬で症状がマスクされた場合、原因疾患に対するアプローチが不十分になる可能性があります。
難治性の慢性咳嗽にリフヌア®錠を使用される場合は、診断および特異的治療を十分に行った上で導入いただくこと、また味覚障害などの副作用発現の可能性を説明していただく様お願いいたします。
[解説]
プラセボを対照とした国際共同第III相試験(027試験)及び海外第III相試験(030試験)に組み入れられた被験者は、「咳嗽に関連すると考えられる原因疾患(喘息、胃食道逆流性疾患、又は上気道咳症候群等)の適切な治療を受けているにもかかわらず継続する咳嗽(治療抵抗性の慢性咳嗽)の患者」及び「十分な臨床評価を行った結果にもかかわらず、関連すると考えられる原因疾患が示唆されない咳嗽(原因不明の慢性咳嗽)の患者」であり、胸部X線又は胸部CTスキャン上に慢性咳嗽に対して大きな影響を与えていると考えられる異常又は他の重大な肺疾患が認められない患者である。
[関連FAQ]
- 電子添文(4項、5項)[2025年2月改訂(第4版)]
- 解説;電子添文(17.1項)[2025年2月改訂(第4版)]
References
- 一般社団法人日本喘息学会喘息診療実践ガイドライン作成委員会作成. 喘息診療実践ガイドライン2024. 協和企画
- 日本咳嗽学会HP 2022年11月2日 難治性の慢性咳嗽治療薬「リフヌア錠」適正使用のお願い(日本咳嗽学会ステートメント)(http://www.kubix.co.jp/cough/news/202211.pdf)
2025/2/6