本剤(リフヌア®錠45mg)の有効成分であるゲーファピキサントの主な消失経路は腎排泄です。
重度腎機能障害(eGFR 30mL/min/1.73m2未満)で透析を必要としない患者では、ゲーファピキサントの曝露量の上昇が認められていますので、本剤の用法及び用量を通常とは異なる本剤45mgを"1日1回投与"とした上で、慎重に投与してください。
なお、腎機能障害患者に投与する場合には、腎機能検査を定期的に実施することが望ましいです。また、味覚障害の発現に注意してください。
一方、透析を必要とする末期腎不全患者における推奨される用法及び用量の調節を設定するための十分なデータは得られていません。
電子添文の記載は、以下のとおりです。
7. 用法及び用量に関連する注意 重度腎機能障害(eGFR 30mL/min/1.73m2未満)で透析を必要としない患者には、本剤45mgを1日1回投与すること。[9.2、9.2.1、9.8、16.6.1参照] |
9. 特定の背景を有する患者に関する注意 9.2 腎機能障害患者 腎機能検査を定期的に実施することが望ましい。なお、味覚障害は曝露量依存的に増加する傾向が認められている。[7.、9.8、15.1.1、15.2参照] 9.2.1 重度腎機能障害(eGFR 30mL/min/1.73m2未満)で透析を必要としない患者 ゲーファピキサントの曝露量の上昇が認められた。[7.、9.8、16.6.1参照] 9.2.2 透析を必要とする末期腎不全患者 推奨される用法及び用量の調節を設定するための十分なデータは得られていない。[13.1参照] |
[解説]
ゲーファピキサントの主要な消失経路は腎排泄である。
臨床薬理試験(腎機能障害者18例)並びに第I、II及びIII相試験のデータ(1,677例)を用いた母集団薬物動態解析から得られた腎機能障害の重症度別のゲーファピキサントの血漿中薬物動態パラメータを下表に示す。
表 臨床薬理試験及び母集団薬物動態解析から得られた腎機能障害の重症度別のゲーファピキサントの血漿中薬物動態
臨床薬理試験 |
母集団薬物動態解析 |
|||||
---|---|---|---|---|---|---|
腎機能障害の 重症度† |
用量 |
AUC0-∞ (ng・hr/mL) |
Cmax (ng/mL) |
用量 |
定常状態時のAUC0-12hr§ (ng・hr/mL) |
定常状態時の Cmax§ (ng/mL) |
正常 |
50mg 単回投与 |
2,280‡ |
160‡ |
45mg 1日2回 |
3,820 |
508 |
軽度 |
4,260‡|| |
221‡|| |
4,470 |
554 |
||
中等度 |
6,350‡ |
272‡ |
5,570 |
644 |
||
重度 |
8,580‡ |
318‡ |
7,220 |
785 |
||
非血液透析下の 末期腎不全 |
10,100¶ |
292¶ |
- |
- |
- |
|
血液透析下の 末期腎不全 |
7,810¶ |
214¶ |
- |
- |
- |
† 正 常:eGFR 90mL/min/1.73m2以上
軽 度:eGFR 60mL/min/1.73m2以上90mL/min/1.73m2未満
中等度:eGFR 30mL/min/1.73m2以上60mL/min/1.73m2未満
重 度:eGFR 15mL/min/1.73m2以上30mL/min/1.73m2未満
‡ 自然対数変換後のデータを用いた線形回帰による平均値
§ 幾何平均
|| 本試験には軽度腎機能障害者は組み入れられなかったため、当該被験者での曝露量は正常な腎機能を有する被験者及び中等度腎機能障害者から補間した。
¶ 最小二乗平均に基づく幾何平均
注)本剤の用法及び用量は、「通常、成人にはゲーファピキサントとして1回45mgを1日2回経口投与する。」です。
軽度又は中等度腎機能障害(eGFR 30mL/min/1.73m2以上)はゲーファピキサントの曝露量に対して臨床的に意味のある影響を及ぼさなかった。
治療抵抗性又は原因不明の慢性咳嗽患者を含めた母集団薬物動態解析の結果、重度腎機能障害(eGFR 30mL/min/1.73m2未満)で透析を必要としない患者では腎機能正常者と比較し、ゲーファピキサントのAUC0-12hr及びCmaxの幾何平均はそれぞれ89%及び54%増加すると予測された1)。
腎機能正常者と同程度の曝露量を維持するため、重度腎機能障害で透析を必要としない患者に対しては本剤の用法及び用量を調節すること。
非臨床試験に基づく情報として、動物実験においてゲーファピキサントからなる尿中結晶及び泌尿器(腎・尿細管・尿管及び膀胱)に病変がみられている。
臨床使用に基づく情報として、プラセボを対照とした国際共同第III相試験(027試験)及び海外第III相試験(030試験)の併合データにおいて、ゲーファピキサント45mgを1日2回投与した患者683例のうち4例で、膀胱結石1例、尿路結石2例、腎結石症1例が報告された(0.8/100人・年)。一方、プラセボを投与した患者675例のうち3例で、腎結石症2例、尿管結石症1例が報告された(0.5/100人・年)。患者の自覚症状では尿中結晶性異物による腎機能障害に関連する有害事象の発生に気づきにくいことから、定期的に腎機能検査、尿検査等を実施することが望ましい。
- 電子添文(7項、9.2項)[2023年5月改訂(第2版)]
- インタビューフォーム(VIII.6.(2)腎機能障害患者)[2023年5月改訂(第3版)]
- 解説;電子添文(15.1.1項、15.2項、16.6.1項)[2023年5月改訂(第2版)]
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解説;審査報告(2)令和3年11月22日 1.2 安全性及び医薬品リスク管理計画(案)について
References
- 社内資料:腎機能障害(2022年1月20日承認、CTD2.7.2.3)
2023/5/1