本剤(バクシダール®錠100mg/錠200mg)の適応症のうち、以下の適応症の患者への投与に際しては、「抗微生物薬適正使用の手引き」を参照し、抗菌薬投与の必要性を判断した上で、本剤の投与が適切と判断される場合に投与してください。
- 咽頭・喉頭炎
- 扁桃炎
- 急性気管支炎
- 感染性腸炎
- 中耳炎
- 副鼻腔炎
電子添文の記載は、以下のとおりです。
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4. 効能又は効果 〈適応菌種〉 本剤に感性のブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌、腸球菌属、淋菌、炭疽菌、大腸菌、赤痢菌、サルモネラ属、チフス菌、パラチフス菌、シトロバクター属、クレブシエラ属、エンテロバクター属、セラチア属、プロテウス属、モルガネラ・モルガニー、プロビデンシア・レットゲリ、コレラ菌、腸炎ビブリオ、インフルエンザ菌、緑膿菌、野兎病菌、カンピロバクター属 〈適応症〉 表在性皮膚感染症、深在性皮膚感染症、慢性膿皮症、咽頭・喉頭炎、扁桃炎、急性気管支炎、膀胱炎、腎盂腎炎、前立腺炎(急性症、慢性症)、尿道炎、胆嚢炎、胆管炎、感染性腸炎、腸チフス、パラチフス、コレラ、中耳炎、副鼻腔炎、炭疽、野兎病 |
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5. 効能又は効果に関連する注意 〈咽頭・喉頭炎、扁桃炎、急性気管支炎、感染性腸炎、中耳炎、副鼻腔炎〉 「抗微生物薬適正使用の手引き」1)を参照し、抗菌薬投与の必要性を判断した上で、本剤の投与が適切と判断される場合に投与すること。 |
[解説]
抗菌薬の適正使用の推進を目的とした抗微生物薬適正使用の手引き 第三版2)において、基礎疾患のない下記感染症の成人患者について病状によっては抗菌薬投与を行わないことが推奨されている。
◆急性鼻副鼻腔炎
定義:発熱の有無を問わず、くしゃみ、鼻汁、鼻閉を主症状とする病態を有する急性気道感染症
治療方法
・成人では、軽症の急性鼻副鼻腔炎に対しては、抗菌薬投与を行わないことを推奨する。
・成人では、中等症又は重症の急性鼻副鼻腔炎に対してのみ、以下の抗菌薬投与を検討することを推奨する。
(成人における基本)アモキシシリン5~7日間経口投与
[関連する本剤の適応症:副鼻腔炎]
◆急性咽頭炎
定義:喉の痛みを主症状とする病態を有する急性気道感染症
治療方法
・迅速抗原検査又は培養検査でA群β溶血性連鎖球菌(GAS)が検出されていない急性咽頭炎に対しては、抗菌薬投与を行わないことを推奨する。
・迅速抗原検査又は培養検査でGASが検出された急性咽頭炎に対して抗菌薬を投与する場合には、以下の抗菌薬投与を検討することを推奨する。
(成人における基本)アモキシシリン10日間経口投与
[関連する本剤の適応症:咽頭・喉頭炎、扁桃炎]
◆急性気管支炎
定義:発熱や痰の有無を問わず、咳を主症状とする病態を有する急性気道感染症
治療方法:慢性呼吸器疾患等の基礎疾患や合併症のない成人の急性気管支炎(百日咳を除く)に対しては、抗菌薬投与を行わないことを推奨する。
[関連する本剤の適応症:急性気管支炎]
◆急性下痢症
定義:急性発症(発症から14日間以内)で、普段の排便回数よりも軟便又は水様便が1日3回以上増加している状態
治療方法:急性下痢症に対しては、まずは水分摂取を励行した上で、基本的には対症療法のみ行うことを推奨する。
[関連する本剤の適応症:感染性腸炎]
- 電子添文(4項、5項)[2024年5月改訂(第3版)]
References
- 厚生労働省厚生労働省健康局結核感染症課編. :抗微生物薬適正使用の手引き
- 厚生労働省健康・生活衛生局 感染症対策部 感染症対策課. 抗微生物薬適正使用の手引き 第三版
2025/10/29