新医薬品 導入

人々の健康に幅広く貢献する企業であり続けるために、当社は医療ニーズに応える価値の高い新薬を継続して創出することに挑戦しています。そのために自社における創薬イノベーションと並行して、外部からの導入による開発パイプラインの拡充に取り組んでいます。

加えて当社の新医薬品事業の持続成長を支えるべく、既存提携事業の安定化と導出による新規事業の創出に取り組み、収益の確保を図ります。

中期経営計画「Vision 110 -Stage1-」の期間中に、これまで導入品4件を獲得しており、さらに2025年度中に2件以上の獲得を目指し当社の事業基盤を確固たるものにしていきます。

環境変化

  • 医療におけるDXの進展
  • 創薬の高度化・難易度の上昇、費用の高騰
  • 創薬モダリティや基盤技術の多様化・複雑化
  • 開発パイプラインの枯渇

機会

  • オープンイノベーションによる技術革新の拡大
  • 異業種パートナーとの協業機会の拡大
  • 資金及び人的資源の大幅な増大

リスク

  • 導入契約資金の高騰
  • 導入品獲得における競争の激化
  • 開発難易度の高まり

中期経営計画 「Vision 110 -Stage 1-」の取り組み

事業戦略導入による開発パイプラインの拡充

導入品獲得力の大幅な強化

  • 導入対象とするモダリティ・疾患領域を拡大し、幅広い導入活動を展開する
  • 導入投資及び人的資源の投資を増大する

DTx開発の推進

  • 耳鼻科領域における治療用アプリ開発を着実に推進する

組織改革と人的資源の投入による探索・評価

Stage1の期間中に目標とする累計6件の導入案件を獲得するためには、導入探索・評価(Search & Evaluation)の強化が不可欠です。常に複数の案件が検討の俎上にあり、関連部門と密接に連携しつつ、迅速かつ高精度な評価を進めることが重要です。

そのため、事業開発本部のもとにライセンス部(導出入活動)とアライアンス部(導出入の契約交渉、提携の管理)を配置し、導入探索から評価、条件交渉、契約締結までをワンストップで進められる体制を確立しています。

強化された組織と機能を最大限に発揮し、人的資本を最大限に活用することで、量と質の両面で活動を最大化し、導入品獲得を着実に実現していきます。

導入対象とするモダリティ、疾患領域の拡大

開発パイプラインの拡充には、対象となるモダリティや疾患領域を拡大し、幅広い導入活動を行うことが必要だと考えています。低分子創薬にこだわらず、新たなモダリティや、当社の重点領域である呼吸器科、耳鼻科、泌尿器科以外の疾患領域であっても、当社の強みを発揮でき事業性が見通せる導入品の早期獲得を目指します。

有望な新薬候補品の獲得競争が激化する中、導入品獲得のための開発情報の量と質(情報の鮮度)にこだわり、また投入資金も増大させています。人々の健康に貢献する新薬の創出に繋げるため、果敢に導入活動を推進します。

積極的なパートナリング活動の推進

事業開発本部はアライアンス部とライセンス部が関連部署と密接に連携し、積極的なパートナリング活動を展開しています。

2020年1月にエイタイヤー(本社:米国)と間質性肺疾患治療薬「KRP-R120」のライセンス契約を締結し、2021年4月にはMSDと難治性の慢性咳嗽治療薬「リフヌア」(2022年4月発売)の日本国内での独占販売に関する契約を締結しました。

2024年12月には、バイエル(本社:ドイツ)と閉塞性睡眠時無呼吸の治療薬候補化合物「KRP-S124」のライセンス契約を締結し、開発パイプラインの拡充を図っています。またオプション契約として、2025年1月にビオドール(本社:フランス)と疼痛治療薬候補化合物「BDT272」に関する契約、さらに2025年2月にシラーノ(本社:米国)と感冒後嗅覚障害治療薬「CYR-064」に関する契約を締結しました。

また治療用アプリ開発について、2022年11月に、サスメドと耳鼻科領域における治療用アプリ「KRP-DT123」の共同開発及び販売に関する契約を締結し、2023年9月に耳鳴を対象疾患とした特定臨床研究を開始しています。さらにハイフ(本社:アメリカ)と非薬理学的治療法であるBCST(Behavioral Cough Suppression Therapy)に基づき、AIによる咳モニタリング技術を活用した慢性咳嗽治療用アプリ「KRP-DC125」の開発も進めています。

既存事業においては国内外の数十社と提携事業を展開しており、今後も積極的なパートナリング活動を通じて新規事業の創出にも取り組んでいきます。

グローバルに導出活動を展開

自社創製品の価値最大化の取り組みとして、グローバル企業への導出活動を積極的に展開しています。2020年10月にプリオセラ(本社:アイルランド)に免疫調節薬「KRP-203」に関わる知的財産権等を譲渡し、2021年3月にエーザイと過活動膀胱治療剤「ビベグロン(日本販売名:ベオーバ)」のASEAN4か国における開発・販売に関するライセンス契約を締結、さらには2023年3月に住友ファーマと台湾等における開発、製造及び販売に関するライセンス契約を締結しました。

2025年3月にはノバルティス(本社:スイス)と自社創製品である「KRP-M223」のグローバルライセンス契約を締結しています。今後もワールドワイドでのパートナリング活動を積極的に展開することで、各国にいち早く自社創製品を展開し、人々の健康に貢献できる価値の高い医薬品の提供を目指します。

国内外企業との主なパートナリング

図:「国内外企業との主なパートナリング イメージ