事業等のリスク

当社グループにおきましては、薬事行政の下、薬機法をはじめとする医薬品の開発、製造、流通等の諸規制及び海外における各国の各種規制を遵守して事業を推進しております。

しかしながら、関係法令の大幅な改定や医療制度改革、市場環境の急激な変化、大規模な自然災害などの要因により、経営成績及び財務状態に重要な影響を与えるリスクがあると認識しております。当該リスクのうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には以下のようなものがあります。

当社グループでは、これらのリスクに関し、組織的・体系的に対処することとしておりますが、影響を及ぼすリスクや不確実性はこれらに限定されるものではありません。

1. 研究開発に関するリスク

医療用医薬品の開発には、多額の研究開発投資と長い期間が必要なうえ、開発候補品が医薬品として上市できる確率も決して高くはありません。杏林製薬(株)では、重点研究領域を明確化し、自社創薬に、国内外の製薬企業・アカデミア・ベンチャー企業とのオープンイノベーションによる研究開発を加えて、パイプラインの拡大に努めております。

しかしながら、開発候補品に予期せぬ副作用の発現や期待する臨床効果が確認できない等の理由で、開発遅延や開発中止となった場合、当社グループの経営成績及び財務状態に重要な影響を与える可能性があります。

2. 医療制度改革に関するリスク

日本国内におきましては、医療用医薬品の薬価改定を含む医療制度改革が実施されております。当社グループでは、営業面におきましては新医薬品の普及の最大化による新医薬品比率の向上、また、生産面におきましては当社グループの生産機能を集約し全体最適化によるコスト構造の変革等に取り組んでおります。

しかしながら、予測可能な範囲を超えた薬価改定や医療保険制度の改定が実施された場合、当社グループの経営成績及び財務状態に重要な影響を与える可能性があります。

3. 安定供給に関するリスク

当社グループの製品及び原材料の一部は、特定の取引先にその供給を依存しております。製品の安定供給のため、一定量の製品及び原材料の確保をしており、また、重要原料については複数の供給元の確保に努めております。

しかしながら、想定外の事象の発生により製造活動や仕入が遅延又は停止した場合、製品の安定供給に悪影響を及ぼす可能性があります。さらに、医薬品は各種法規制の下で製造しておりますが、品質等に問題が発生し製品の回収等を行うことになった場合、当社グループの経営成績及び財務状態に重要な影響を与える可能性があります。

4. 他医薬品との競合に関するリスク

新医薬品事業では「呼吸器科」「耳鼻科」「泌尿器科」などの特定領域に経営資源を注力し、専門医への情報提供活動を重点的に実施することにより、上記領域におけるプレゼンスの向上を図っております。また、後発医薬品事業ではオーソライズドジェネリックの上市を積極的に推進し、当社グループの特色を活かした事業展開を図っております。

しかしながら、同領域の他社製品との競合や先発医薬品の特許切れ後のジェネリック医薬品の参入が激化した場合、当社グループの経営成績及び財務状態に重要な影響を与える可能性があります。

5. ITセキュリティ及び情報管理に関するリスク

当社グループでは、業務上ITシステムを多数利用していることから、セキュリティソフトの導入、定期的データバックアップの実施、ならびに各種情報管理規程を制定し従業員に周知徹底することでITセキュリティ対策、情報管理体制の構築を図っております。

しかしながら、システムの不備やコンピューターウィルス、サイバー攻撃等の要因により、予期せぬ業務の妨害や情報等の外部流出により社会的信用を著しく毀損した場合、当社グループの経営成績及び財務状態に重要な影響を与える可能性があります。

6. 知的財産権に関するリスク

当社グループでは知的財産権を厳しく管理し、第三者からの侵害にも継続的に注意を払っております。しかしながら、第三者による当社知的財産権の侵害により被害を受けた場合、また、当社グループの事業活動が他社知的財産権を侵害した場合に、事業の中止・係争の可能性があります。

その場合、当社グループの経営成績及び財務状態に重要な影響を与える可能性があります。

7. 訴訟に関するリスク

当社グループが国内外で事業活動を行う過程における特許等の知的財産権、製造物責任(PL法)、環境保全、労務などに関連する訴訟リスクについては、専門家の助言を踏まえながら対応を行っております。

しかしながら、これらに関連する訴訟が提起された場合、当社グループの経営成績及び財務状態に重要な影響を与える可能性があります。

8. アライアンスに関するリスク

当社グループでは、外部資源の有効活用を目的としてアライアンス戦略を推進し、国内外の製薬企業等と販売委託・共同販売・共同研究等の提携を行っております。また、提携先の販売戦略や研究開発動向をふまえた関係性の向上を図り、継続的提携関係の維持・発展に努めております。

しかしながら、これらの提携関係を解消することになった場合、当社グループの経営成績及び財務状態に重要な影響を与える可能性があります。

9. 副作用発現に関するリスク

医薬品の開発段階での臨床試験は、限られた被験者を対象に実施されております。市販後に予期せぬ副作用が発現した場合、使用方法が制限される可能性や場合によって販売を中止する可能性があり、当社グループの経営成績及び財務状態に重要な影響を与える可能性があります。

10. 大規模災害等に関するリスク

当社グループでは、大規模災害等に備え、各種対応マニュアルを作成し、訓練を実施しております。しかしながら、想定している以上の地震、台風などの自然災害、火災などの事故及びインフルエンザ、新型コロナウイルス等のパンデミックが発生した場合、当社生産子会社であるキョーリン製薬グループ工場(株)や調達先等において工場の閉鎖・操業停止が考えられます。

製品の安定供給の観点から一定量の製品在庫を確保しておりますが、工場の閉鎖・操業停止が長期間に及ぶ場合、当社グループの経営成績及び財務状態に重要な影響を与える可能性があります。

11. 環境問題に関するリスク

当社グループでは、環境・安全衛生に関して、関係法令等の遵守はもとより、さらに高い自主基準を設定してその達成に努めております。また環境マネジメントシステムと労働安全衛生マネジメントシステムを統合し、当社グループ全体でEHS活動を推進しております。特に気候変動対策については重大な課題の一つとして捉えており、環境負荷物質の削減等、環境への影響に配慮した事業活動を行っております。

しかしながら、事業活動を行う過程において万が一の事故等により関係法令等の違反が生じた場合、当社グループの経営成績及び財務状態に重要な影響を与える可能性があります。

12. 金融市場の変動に関するリスク

為替相場の変動により、輸出入取引において当社グループの経営成績及び財務状態に重大な影響が生じる可能性があります。

また、為替相場、金利水準や株式市況の変動により、年金資産額、退職給付債務額、保有する株式の評価額等が変動した場合、当社グループの経営成績及び財務状態に重要な影響を与える可能性があります。

(新型コロナウイルス感染症による影響)

新型コロナウイルス感染症の更なる拡大に伴う医療機関への受診抑制や情報提供活動の制限等様々な影響により、当社グループの経営成績及び財務状態に重要な影響を与える可能性があります。当社グループでは、従業員の健康に配慮した対策をとりつつ、在宅勤務や時差出勤等の働き方改革を推進しており、営業活動においては医療機関へのMR活動を自粛する一方で、デジタルチャネルを多面的に活用した情報提供活動を積極的におこなっております。

しかしながら、当社の想定を超えて新型コロナウイルスの感染症が拡大した場合、当社グループの経営成績及び財務状態に重要な影響を与える可能性があります。また、新型コロナウイルス感染症の流行が収束した場合であっても、一定期間影響を及ぼす可能性があります。