過活動膀胱治療薬「ベオーバ錠50mg」の製造販売承認取得について
2018年9月21日
(コード番号 4569 東証第1部)
キッセイ薬品工業株式会社
(コード番号 4547 東証第1部)
キョーリン製薬ホールディングス株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:穂川 稔)の子会社である杏林製薬株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:穂川 稔、以下「杏林製薬」)とキッセイ薬品工業株式会社(本社:長野県松本市、代表取締役会長兼最高経営責任者:神澤陸雄、以下「キッセイ薬品」)は、杏林製薬が 9 月 21 日付けで厚生労働省より、過活動膀胱治療薬「ベオーバ錠50mg(以下「ベオーバ錠」)」について製造販売承認を取得しましたことをお知らせします。
本剤については、杏林製薬が 2014 年 7 月に Merck & Co., Inc. Kenilworth, N.J., U.S.A.(米国とカナダ以外では MSD。以下、「Merck 社」)との間でライセンス契約(日本国内における独占的な開発権及び製造販売権)を締結し、2016 年 3 月に日本国内における共同開発権及び共同販売権をキッセイ薬品に供与して、両社で国内開発を進めてまいりました。その後、2017 年 9 月に杏林製薬が厚生労働省に製造販売承認申請を行い、この度の承認取得に至りました。なお、「ベオーバ錠」は杏林製薬とキッセイ薬品で共同販売いたします。
「ベオーバ錠」の有効成分であるビベグロンは Merck 社により創製され、国内では杏林製薬とキッセイ薬品が共同で開発した過活動膀胱(OAB)に対する 1 日 1 回投与の新規経口治療薬です。膀胱の β3アドレナリン受容体に選択的に作用し、膀胱を弛緩させることで、蓄尿機能を高め、OAB における尿意切迫感、頻尿及び切迫性尿失禁の症状を改善します。
本邦における OAB の薬物療法では、諸症状を改善する抗コリン薬が広く使用されてきましたが、口渇等の副作用発現の他、効果不十分等により治療中止となることもあり、新規 OAB 治療薬として β3 アドレナリン受容体作動薬が開発されてきました。
β3 アドレナリン受容体作動薬は抗コリン薬の副作用を回避できる可能性がある一方、副作用として脈拍数の増加、血圧の変動等の心血管系に対する影響が一般的に知られており、また多種類の薬剤を服用する高齢者では、薬物相互作用に注意する必要がありました。心血管系に対する影響及び、薬物相互作用が少なく使いやすい OAB 治療薬の開発が重要との認識に基づき、本剤の開発に至りました。
杏林製薬とキッセイ薬品は泌尿器科を重点領域の一つに位置づけており、同領域での製品ラインナップ拡充とプレゼンス向上に取り組んでいます。今後は、本剤の早期市場浸透を図ることにより、OAB の諸症状で苦しむ患者さんに新たな治療の選択肢を提供し、更なる貢献を目指します。
(製品情報)
「ベオーバ錠」について
1.製品名:ベオーバ錠50mg(Beova®Tablets 50mg)
2.一般名:ビベグロン(Vibegron)
3.効能・効果:過活動膀胱における尿意切迫感、頻尿及び切迫性尿失禁
4.用法・用量:通常、成人にはビベグロンとして50mgを1日1回食後に経口投与する。
(参考情報)
過活動膀胱とは:過活動膀胱(OAB)は、加齢や神経疾患などの原因により「尿意切迫感 (急に起こる、抑えられないような強い尿意)」や「頻尿(排尿回数が通常より多い状態)」、「夜間頻尿」などの症状を示す疾患です。
OABの有症状率は加齢とともに上昇する傾向があり、本邦の2012年の人口構成から1,040万人のOAB患者が存在すると推定されています※。また、高齢化に伴いOAB患者の更なる増加も想定され、QOLを含めた健康改善に対するOAB治療薬の寄与は大きいものと考えられます。
※過活動膀胱診療ガイドライン[第2版] 日本排尿機能学会 過活動膀胱診療ガイドライン作成委員会 編
詳しくは下記のPDFファイルをご覧ください。