ニュースリリース

バイエル社との閉塞性睡眠時無呼吸等の新規治療薬候補化合物に関するライセンス契約締結について

2024年12月16日

当社は、Bayer AG(本社:独ベルリン、CEO:ビル・アンダーソン、以下、バイエル社)が創製した閉塞性睡眠時無呼吸(Obstructive Sleep Apnea:OSA)の新規治療薬候補化合物(開発コード:BAY2925976、以下、本剤)及びそのバックアップ化合物について、2024 年 12 月 13 日付でライセンス契約を締結しました。

本契約に基づき、当社は OSA 等を対象とする本剤及びそのバックアップ化合物の全世界を対象とした独占的製造、開発、販売権を取得します。また当社は契約一時金として 15 百万ユーロ、開発から発売までの進展に応じたマイルストンペイメントとして最大 70 百万ユーロ、ならびに発売後の正味売上高に対する一定率のロイヤリティ及び販売マイルストンをバイエル社に支払います。

OSA は世界で約 10 億人以上が罹患し、日本では治療を要する中等症以上の潜在患者が約 900 万人いるとされています。OSA は、代謝性疾患や心血管系疾患のリスク要因かつ居眠り運転事故や労働災害の要因にもなっていることから早期の診断・治療が必要な疾患であるにもかかわらず、未治療もしくは治療不十分な患者さんが多く存在するとされています。当社が本剤を開発し販売することにより、OSA の薬物治療の選択肢が増え、OSA 患者さんの治療、生活の質の向上に貢献できることを期待しています。

本剤は、ADRA2C(アルファ 2C アドレナリン受容体) 拮抗作用を有し、中枢性に上気道虚脱を軽減し、OSA に見られる一時的な無呼吸・低呼吸を改善することが期待されています。バイエル社は、これまでに本剤の Ph1 試験を終了しています。

当社は、医療ニーズに応える価値の高い新薬の提供を目指し、中期経営計画「Vision 110-Stage1-」において「導入品による開発パイプラインの拡充」を掲げています。本契約により、世界の OSA 患者さんに一日も早く新たな治療選択肢を提供できるよう、積極的に開発を進め、人々の健康に貢献する企業を目指します。

2025 年 3 月期の連結業績予想への影響につきましては、本契約によりバイエル社に支払う契約一時金を当期の販売費及び一般管理費(研究開発費)に計上する予定であり、適時開示すべき事項が発生した場合には、速やかに公表いたします。


【参考情報】
閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)について 2,3,4
OSA は睡眠時にオトガイ舌筋を中心とした上気道開大筋群の虚脱による上気道閉塞に伴い、繰り返し無呼吸や呼吸困難を引き起こす疾患です。無呼吸や低呼吸を一晩中繰り返すことにより、睡眠の質が低下し、日中の強い眠気や疲労感をきたし、居眠り運転事故や労働災害の要因にもなっています。また、血液中の酸素濃度の低下を補うために、心機能が亢進することにより、高血圧を引き起こします。この他、動脈硬化、心筋梗塞、脳梗塞、血糖値やコレステロール値の上昇などの様々な生活習慣病のリスク要因にもなっています。

全世界では 10 億人以上が OSA に罹患し、また治療を要する中等症以上の国内推定患者数は 900 万人以上とされています。しかし、実際に治療を受けている患者さんは全体の 10%にも満たず、未治療もしくは治療不十分な患者さんが多く存在すると言われています。

現在、OSA の標準治療は持続気道陽圧療法[Continuous Positive Airway Pressure(CPAP)]ですが、CPAP が保険適用にならない患者さんや、CPAP による治療が困難な患者さんも一定数以上存在していると言われています。一方、薬物治療の選択肢は限定的な状況です。

出典:
1.Benjafield AV, Ayas NT, Eastwood PR, et al. Estimation of the global prevalence and burden of obstructive sleep apnoea: a literature-based analysis. Lancet Respir Med 7: 687-698, 2019.
2.睡眠時無呼吸症候群 (SAS) の診療ガイドライン 2020. 睡眠時無呼吸症候群 (SAS) の診療ガイドライン作成委員会編,日本呼吸器学会,厚生労働科学研究費補助金難治性疾患政策研究事業「難治性呼吸器疾患・肺高血圧症に関する調査研究」班監修.南江堂,東京,2020 3.睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome:SAS)、日本呼吸器学会ホームページ
4.厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト e-ヘルスネット